ブラックブック 感想

 

WW2中オランダに亡命しているユダヤ人女性が逞しく生きざるを得ない環境で環境にも状況にも適応して、何とか生きて、何とか復讐を遂げる物語。騙し騙され誰が味方か敵かわからない。すっごく見応えのある事実に基づいたサスペンス映画だった。

 

普遍的な悪は常に揺らいでいるってメッセージも良い。生きる手段としての悪があったり、適応せざるを得ない悪があったり、正義を振りかざした悪があったり。それでも悪は悪でしかなく、罰にその背景はあまり考慮されない。本当に複雑で結果なんて考慮できないぐらい今を臨機応変に生きるのに精一杯な時代があって、そんな時代を生きてる人がいた、その事実が純粋に凄いと思った。ただ、ラストにスエズ動乱の描写があってそんな時代は実は私が知らないだけでまだ続いている事も仄めかされた。WW2の尾を引いた今も続いてる戦争や混乱については、戦争を経験したどの国にも結びついていて、責任があると思う。ただの傍観者でいてはいけない、事実を知って考える必要があると実感した。