メモ 『子どもたちの階級闘争』

 

白人のムスリム女性「フェミニズムは白人のミドルクラスの女性にハイジャックされている」「フェミニストの問題を論じるにはジェンダーだけではなく人種と階級の問題が切り離せない」「聞こえない声というのは存在しない。わざと聞いてないか聞きたくないということ。フェミニストたちはオルタナティブな声(西洋以外の国)を自分達のムーブメントに加えることに抵抗する」「フェミニズムが白人女性にハイジャックされているというのは全ての分野で白人女性のナラティブが支配していて、オルタナティブな声は西洋が優れているという彼らにとって不変の真実を肯定するためのちょっと古風な意見として利用されているのでは。ムスリムフェミニストとして宗教の中に男女同権の苦闘があるのを知っているが、不平等は宗教だけに起因させて済む問題ではない。貧困と家父長制度も大きな要因だ。私が共感するフェミニズム帝国主義や搾取(貧困)や戦争や家父長制度に抵抗する女性たちのフェミニズムだ。」byニュー・ステーツマン2012.2.13

 

イギリスは階級社会。階層は英語のアクセントでバレてしまう。私立校に通えばBBCのアナウンサーのような明瞭な英語を話す。よって階級による差別が存在する。中でもチャヴは下層に位置し、イギリス社会の荒廃を象徴する言葉と結びつけられてきた層である。この本の保育士の同僚はチャヴであることがミドルクラスの親達に知られ、無視されるようになる。しかし一方でこの親達は外国人には優しかった。外国人を差別するのはPCに反するがチャヴは自国民だから良いという認識。これをソーシャルレイシズムという。そしてこのチャヴの保育士は身に覚えのない容疑を親達にかけられ、証明することもできず自宅待機となってしまう。

また、イギリスでは週15時間までの保育料を無料にしているが、2歳児を受け入れる保育園が全国的に不足している。理由はミドルクラスと貧しい子ども達を一緒に見ることを恐れる保育園側が下層幼児の受け入れを拒否している為である。元々保育費は15万かかる為ミドルクラスが利用する事が一般的だったが無料化により下層階級が入ってくるとミドルクラスからのクレームが増えてしまい、下手すれば潰れてしまうかもしれない。よって幼少期から階級分離が行われる。そこで入れなかった子どもたちも以前は無料で預けていたが、保守党になってから下層クラスの人々に対する投資的費用が削れ無料の保育園の運営が難しくなってしまう。

イギリスではソーシャルアパルトヘイトという言葉がある。最近使われ始めた。2013くらい。イギリスでは格差が固定化しソーシャルアパルトヘイトの中で育つ世界に突入している。これによって貧困エリアに住む子供は家庭で不慮の事故に遭遇し怪我をする確率が高い、それ以外の地域の子供に比べ新鮮な空気を吸って緑のある空間で遊ぶ機会が9分の1になっている、肥満の割合は豊かな地域の男は3倍、女は2倍になっている。家庭内暴力により他人とコミュがとれない子もいた。

この格差によって子供たちの生活があまりにも二極化し、分離され、まったく触れ合うこともなく暮らす状況にんっている。

裕福な子はパブリックスクールへ。子供が多いなどで通わせられなければ評判の良い公立学校へかよわせるが、その条件は半径何メートルに家がある事とされる為、評判の良い学校の周りは家賃相場が高くなる。これによって居住地域の分離が進む。お互いにとってパラレルワールドの存在となってしまう。

Ukipという政党は反移民、欧州離脱を唱える右翼政党。少しずつ勢力を伸ばしている。今は知らないけど。移民が労働者階級の仕事を奪い、賃金を押し下げ、国家医療制度や福祉を濫用し、学校や住宅不足を招き、国家を破綻に陥れていると主張している。彼らがいなくなればイギリスに幸福が訪れるとほざいている。EU移民と結婚することによって法的にイギリスに滞在する外人を目の敵にしている。イギリスが緊縮政策として削った社会への投資は最も底辺家庭に打撃を与え、外国人は暮らし辛くなっている。託児所は平日、週三日の午前中しか開けず職員も不足、給料のカット、教育に必要なものも買えない状態になってしまった。元々知的格差をなくす為に底辺託児所でもハイレベルな教育がされていたが、それも受けれなくなってしまった。また、宗教的な価値観の違いでイギリスの教育や社会に従えない人もいる。手を挙げる事が虐待であるが、それを悪い事とおたがわず、むしろイギリスは子供をほったらかしているから後退しているとまで確信している。しかし子どもを社会で育てるものとされるイギリスでは取り上げられることもありえる。宗教の壁は高い。

イギリスにはパーティー文化があり子ども達もこぞって誕生日パーティーを開くが、不況によってクラス全員を招く頃が難しくなった現在、誰を招くか、招かないかが問題になってくる。そしてそれを決めるのは親達となる。厳格なカトリックの人は白人だけだったりと様々であるが、階級を上がったベトナム人が黒人を招かなかったことがある。階級を上って上層の人々の悪癖を模倣し、有色人を排除する有色人が生れてしまった。

イギリスの託児所に外人が増えた事によって下層クラスのイギリス人は減少し託児所でマイノリティーな存在になってしまった。よって稀にくるアンダークラスのイギリス人を外国の移民の親が憎悪や偏見の目で見てしまう事がある。また、移民は向上心が高く真面目な人が多い為アンダークラスの柄の悪い連中をあまり好まない。イギリス人からの偏見だけではなく、また逆もしかりなのである。

イギリスでは労働党が発育格差を無くす為に力を入れており、特にエモーショナルインテリジェンスに力を入れている。しかしこの教育に移民の子供達よりアンダークラスの苦労しているませた子ども達は懐疑的スタンスを示すことがある。過去より未来が明るくなると信じられる人々の方が幸福度が高いが、このような形でも表れてしまう。

イギリスの託児所では様々な国の子供がいる為国際的になりすぎてしまいも揉め事も大変、小競り合いの性質も多用化してきた。しかし、幼少期にこれを経験することは大切な事でもある。イギリスでは労働党時代に外国人の保育士を増やし、ダイバーシティ教育の推進を図った。これによって子供達は幼少期から外国人に慣れることができる。偏見。その経験こそが社会を前身させる。外国人と交流し、衝突しながらもお互いに理解し、認めあうという経験が大切。

イギリスには幼児教育の憲法でありバイブルがあり、それによると小学校を入学するまでに自分の意見をしっかり述べ説得する努力をする姿勢を身に付けなければならない。よって託児所でディベートごっこをする。この際ペルソナドールを利用しており、色んな人種の形をした人形である。これによって多様化した社会の実現やマナー、思いやりの問題を考えさせている。一方で子供達は自分の容姿に近い人形を好む為取り合いなどの問題もおこり取扱いが危険とされており訓練を受けた人材しか使えない。シェア分配の概念を徹底して教える。

下層階級ほど軍隊に入る。よって下層階級は軍隊を熱烈に支持する人が多い。よってワーキングクラスを支持基盤とした右翼が支持を伸ばすのにはこのような背景がある。もう貧困層の若者は第二のビートルズチャップリンなど目指してなく、普通に働いてお金を稼ぐことを出世と考えている。

英国は元々労働階級が誇りを持って生きていた国だった。60年代に労働階級も将来の選択できるようになり、上流階級からはクールな存在として憧れの目を向けられていた。しかし今の労働階級はチャヴと呼ばれクールどころか社会悪、イギリスの恥とされ、流行のカルチャーは戦前のようにミドルクラスから発信されている。現代のイギリスは階級が固定化されすぎている。保守政権になってから下層階級の人達のチャンスを得る可能性が途絶えてしまい、期待できない閉そく感と絶望感をもたらしてしまった。

右とか左とかいうイデオロギーは結局庶民を貧しくさせるものにしかならない。庶民がまともに食べれるようになってから観念を述べなければ。その順番を間違えたからブレグジットが起きた。

EU離脱国民投票後、EUは貧しい北部と裕福な南部に分裂された二つの国のようになってしまったが、これは政府が何年も前から貧困者を北部に送り込んでいた為である。そして下層階級を生活保護を搾取していると勘違いし迫害の対象となっている為、シングルマザーであろうとも容赦なく職安は生活保護を止めまくっている。福祉が制裁を連発する為日々の食事ができなくなる人が増えている。その為イギリスではフードバンクが増えており貧困地域の託児所もフードバンクに変わる。最下層の子供達に未来を与えるための託児所が今を生きさせる為の食糧庫に変わってしまった。

2010年に政権を握った保守党が緊縮財政政策に舵を取り、福祉、教育、医療の財政支出を急速に削減し、その影響がリアルに庶民に出始めたのが2011年。

普通の概念を疑えがモットーの託児所。普通の基準は人それぞれ。

2009年にイギリスではワーキングクラスの下層階級のことがマスコミでよく取り上げられる。生活保護を受給しているのにこんな事件をおこしている、というニュースが相次いているためである。イギリスは困窮している人には家を与え、仕事が見つからない人には半永久的に生活保護をあたえ、子供ができたら補助金をあげるなどの社会福祉を彼らに与えているが、一方で死ぬまで働けずに生かされる一族を作ってしまった。生活の不安はないがその代わりに希望もないので家の中で暴れはじめDVへへっ店するケースもある。