地政学

 

 

地政学とは〜

地理的に衝突が頻発する三大エリアをめぐる国の振る舞いの研究。

国の地理的な条件をもとに他国との関係性や国際社会での行動を考えるアプローチ。国の行動には地理的や要素が深く関わってくる。

地政学によって自国を優位な状況に置きながら相手国をコントロールするための視点を得られる。

 


ポイント

ある国やエリアを誰がどう支配するか、

道や要所が重要。物流などをコントロール、支配できる。

 


バランスオブパワー

上位(アメリカ)が2位の国の力を抑え込む為に3位以下の国と協力しながら国力を削ぐ。

 


チョークポイント

ルート(海路)を航海するうえで必ず通る関所。アメリカが支配。

 


ランドパワー

内陸国。陸上輸送力が優れてる。

 


シーパワー

島国。造船場港湾施設などを持つ。

 


ランドパワーとシーパワーを両立し存続できた国家はこれまでにない!

 


ハートランド

ユーラシア大陸の心臓部。ロシアらへん。内陸。

 


リムランド

ユーラシア大陸の沿岸部。

 


日本の特徴

海流や季節風などの影響で攻めにくく、また、自給可能な面積と人口、生存に適した気候を持っている。

 


北方領土返還されない理由

1.ロシアは北方領土で大国を牽制できる。日本に渡すとアメリカ軍基地できる危険性もある。

2.北極海ルートをまもる

3.日本の重要度低い。メリットほぼなし。

 


沖縄米軍基地が完璧な拠点の理由

1.ICBMを配備すると1万キロ内に世界の主要都市を射程に収められる。

2.勝利して得た領土という気持ち

3.基地設備。訓練設備、最新鋭の戦闘機など。

4.インフラ設備や政情の安定性

→よってアメリカが手放すことはない。

☆沖縄の15パーセントが米軍基地。

 


米海軍横須賀基地

船の修理、メンテナンスを行う世界最大級のドライドック。技術力も高く、拠点的にもメリットが大きい。主に太平洋やオセアニアを監視。

 


近海の制覇

地政学的に大国になる国が最初に行うのが近海の制覇。その為対馬尖閣以外の島も狙われている。

 


日本にとっての米軍

石油消費大国であり、石油が無ければ破綻してしまう為、石油の輸入ルートを(中国軍から)守っている。(想像以上に危険な状況。)また、世界の警察として海の秩序を守ってる。日本は石油の中東依存を脱却するべくロシアからパイプラインを入れる計画あるが、北方領土の問題もあり、難航。

 


北朝鮮

約7分で日本に着弾するミサイル開発している。アメリカならとっくに空爆しているほど危険な状態。反乱を起こしにくい縦割り官僚組織とよくわからない国という戦略で諸外国に揺さぶりかけている。

 


内陸国

侵攻されやすいため、侵攻されない為に侵攻するという考えがある。

島国

攻めづらく守りやすいが、こっちから攻めるには不利。

 


アメリ

海に囲まれユーラシア大陸からも離れているため他国から攻撃されるリスク低く、かつ周辺に存在を脅かす国もない。

アメリカの基本戦略

パワーバランスを制御する事。

世界警察。世界中に軍事拠点。

 


中国

海の覇権を狙っている。

アメリカに代わり中国が世界の新しい秩序をつくりたい。

シーランドで結託して中国に対抗。

海の覇権=アメリカの安全保障、経済成長の為必要不可欠。

 


アメリカと中東

石油利権の確保とイランの封じ込め(ロシアの牽制)の為対立。しかし米で新たな石油資源が発見された為重要度低くなり、手を引いて中国の牽制に力を入れたいものの、争いを繰り返した為引くに引けない状態。

 


ポーランドとトルコはロシアの進出を防ぐ為に重要。

 


ロシア

 


ロシアのクリミア併合

黒海ルート防衛のため。武力による領土変更だがロシアから大量の天然資源を輸入してある為各国強く出れない面あり。

 


ロシア

・大国になりたい

・領土を奪われる恐怖から先に仕掛けて奪う

ソ連崩壊時に失った領土を取り戻す

 

 

 

 

 

 

中国 

 


ランドパワー国家。

 


昔から国土の広さにより周辺国から攻められがち。

50以上の少数民族

国内の治安維持費(監視、盗聴、ネットの検閲など)が国防費を上回る。珍しい…

シーパワーの取得も目指し始めた。(両立できるのか…)

理由→国境問題の解決を進め、国境を固める。国防から国外展開に尽力する方向へ。台湾を取るには尖閣諸島が邪魔。欲しい。

漢民族こそが世界の中心である(周囲は蛮人)」という中華思想(自負)があったが、アヘン戦争やそれ以降の戦争で打ち砕かれるものの、経済発展により復活?中華帝国をつくりたい。

習近平の「一帯一路」構想

アジアとヨーロッパをつなぐ陸上と海上のルートのこと。中国が整備して貿易を促進し経済圏を作る構想。また、国内で過剰になった商品の輸出と13億の国民に国外での仕事を与える狙いも有り。

 


水をめぐる問題

 


中国は地形的に水不足。

その為チベット高原の地下にある水脈を狙い、上流にある中国はダムを建設し水の流れを変えようとしているが、これら下流にある他国の水量が減る事を意味する。→水戦争?

 

 

 

コロナ

国境封鎖などによりグローバリズムの流れ減退→シーパワー弱まる。

内需が大きい中国のランドパワー強まる。成長。ただ、コロナが収まればシーパワーも復活する為、力を保つには中国は成長し続けなければならない。

 

 

 

 


ローマ帝国

BC27〜395

ヨーロッパに存在した。

海と陸の支配の両立を目指し拡大しすぎたことが滅亡の要因とされている。

 


オスマン帝国

13C〜20C 長い!

起源は現在のトルコ。

最盛期にはアフリカ北部〜東欧〜中東の一部を支配。

優れた統治を行い宗教や民族の対立もほぼなし。しかし、影響力が衰えた頃にW W1が勃発。サイクスピコ協定で分立し、中東の混乱へ。

 

 

 

 

 

 

アジア

中国とインド間に小国が集まる。

板挟みながらも経済面では中国に、安全保障面ではアメリカに依存するなどバランスを保っている。タイはアメリカと同盟関係で中国とは経済協力関係で、バランス外交が基本。

インド文化圏、中華文化圏、ペルシャ文化圏

 

 

 

 


中国とインド

世界中の石油タンカーが通過するインド洋をめぐり対立。

両国とも石油消費量多くインド洋は死活問題的に重要。

 


中国

真珠の首飾

南シナ海からインド洋、アジア半島のルートを確保する戦略 

vs

インド

ダイヤのネックレス

アフリカ東部や東南アジア諸国との連携を進める構想

 

 

 

 

 

 

中東問題

 


地理

昔は貿易の中継地、近年は石油の産出地。

 


歴史

平和なオスマン帝国

信仰・言論の自由を認める。

民族

イラン人、アラブ人、トルコ人クルド人などが住み分け

宗派

スンニ派

経典重視。9割の多数派で、貧困層が多い。

シーア派

血統を重視。1割の少数派で、富裕層が多い。

1916 英仏露 サイクスピコ協定

西欧の植民地に。分布を無視した分割で秩序を破壊する統治。

1916 三枚舌外交 イギリスによる矛盾した密約。

影響

・宗教や民族的に統一感なく、国への帰属意識や立て直す意識が低い。国という感覚がない。

・長らく他国が統治する傀儡国家だった為自ら統治しづらく、独裁的な指導者でないと国を治めにくい。

WW2後、植民地から独立し各地でフセインなどの独裁者が乱立

ソ連崩壊、湾岸戦争を経て独裁的な指導者が倒れ、民主化運動、アラブの春が進む

宗教対立や部族紛争が多発し、政府の力が及ばない空白が生まれ、ISも誕生。

石油に関する利害や核開発の問題などもある。

 


元々

シーア派のアサド政権vsスンニ派の反体制武装組織

2010年代初頭

シーア派アメリカへの不満を募らせ生まれたISが加わる。世界中でテロ。アメリカは反政府組織を、ロシアとイランはアサド政権を支援。

2017年にISの首都ラッカが陥没し崩壊。

その後同地で勢力を得たのが国家を持たない世界最大の民族、クルド人

現在

アサド政権vs反体制組織vsクルド人

 


イランとアメリカの問題

石油支援を求めるアメリカの支援でイランに独裁政権誕生

民衆がイラン革命を起こし独裁政権打倒。アメリカの影響カ低下

アメリカの関与がなくなったイランにイラク侵攻。アメリカはイラクを支援。

さらに反米へ。

ブッシュ 核開発非難、経済制裁開始

オバマ IS打倒で利害一致。核開発一部認める核合意。経済制裁緩和。

トランプ 核合意の離脱宣言。再び経済制裁へ。

 


イスラエルの紛争

きっかけ

WW1後、イギリスの三枚舌外交のバルフォア宣言(ユダヤ人から援助受ける代わりにパレスチナユダヤ人国家建設を認める)の影響で世界に散らばるユダヤ人がパレスチナに移住し、長年住んでいたアラブ人と対立。

また、ユダヤ教イスラム教(アラブ人)は共に聖地をエルサレムとしており、領有をめぐる問題により加速。

WW2後、国連がイスラエルパレスチナに分割し、双方反発。

アメリカ支援のイスラエルvsアラブ諸国支援のパレスチナ中東戦争

二国共存を認める協定結ぶが、争い続いている。

 

 

 

 


ヨーロッパ

 


地理

ユーラシア大陸の西に位置する半島。

海洋に進出しやすいが常に陸続きのロシアの脅威にさらされ、南にはイスラム諸国が控えてる。その2つの勢力とせめぎ合いを続けてきた歴史を持つ。

WW2後はさらにアメリカが介入し、不安定な状態。

 


EU

政治や経済の協力をする統合体

 


NATO

ロシアのヨーロッパ進出に対抗する為の軍事同盟。

 

 

 

新冷戦時代の戦い方

代理戦争

コストインポージング

コストを増大させる方法

ex 相手の弱点を狙った兵器を作り、その防衛コストを増大させる

 


現在

アメリカvs中国の構図

両者とも軍事費に力入れてお互いを牽制。ウサデンなど宇宙からの攻撃もある。

中国に対抗するために今後アメリカに続いて各国が協力していく。

日本は中国の近隣に位置するため、アメリカだけではなく自らも防衛政策に力を入れなければならない。

 

 

 

 

 

 

感想✍️

 


世界の問題や各国の関係性、外交の動きの起因などがすごく簡潔に書かれていてわかりやすい。これを読めばニュースで見かける時事問題の要点が理解出来るようになると思う。個人的には複雑な中東問題を理解できて満足。

 


それにしても外交って大きな分母で合理的に行われている事を実感。脅かされないようにする為には脅かす必要があり、国を守るには国力を大きくする必要があり、それが兵器の開発やそれに対抗する為の防衛費の増大に繋がってしまう。

今、アメリカ対中国の構図で、日本は中国に近いながらも安全保障はアメリカ任せの状態だけど、コロナでも内需が大きく力を増し続ける中国の脅威に対抗する為には、日本自らも安全保障に力を入れる必要があると思った。話し合いでお互いに譲歩しつつ平和的に解決が理想だけど、問題の規模があまりにも大きく複雑な為そう上手くはいかない…。兵器が戦争の抑止力になって実際に使われる事はないんじゃないかな、なんて思うけど、大国に挟まれる立場で何の準備をしないのは心許ない気がする。結局強者が勝つ世界…。

あと、個人的に印象的だったが、沖縄米軍基地がとても重要な拠点だったこと。ニュースを見て勝手に沖縄の人に同情したり、米軍に嫌悪や感謝を感じたりしていたけど、沖縄の人以外は何も知らずに恩恵を受けていたんだな、と実感。本当に、何も知らなかったな。

 


いずれにしろこの本1冊読んだだけでは表面的な部分しか理解できないから、今後ニュースを見る時はこの本で得た知識を活かして自分なりに考えを深めていきたいと思う。