カブラの冬

 

    第一次世界大戦時のドイツにおける食糧飢饉についての本。主に1916年の話し。

 

   ドイツは潜水艦爆弾によるイギリスへの攻撃をしたが、これは国際的に違法であった。 よってイギリスは報復としてドイツに対し経済封鎖を行い、輸入品が入らないように、そして、輸入品が入った船には攻撃を行った。  しかしドイツは食料自給率の低さと自国は裕福だ、戦争なんて簡単に終わらせる、というエゴがあった為、イギリスによる報復にも怯まなかった。食料問題を甘く考えていたのである。よって、気づいた時には遅く、深刻な飢饉を招く事になった。

 

    一方で、イギリスが行った報復は無差別的且つ非人道的で、女性や子どもまでも被害にあっていた。また、この報復は人間を飢餓状態にする、という新たな攻撃方法を生み出してしまった。パンドラの箱を開けてしまったのである。

 

   乾燥した冬の大地で作物は育たず腐った芋すら難しい状態であった。家畜は戦争の長期化を予想していなかった為早々に尽きてしまい、また新たに育て上げるには時間がなかった。

 

     そして、この飢饉による怒りの矛先が、なぜかイギリス人ではなくユダヤ人に向かってしまった。